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こどもの相談室TOMOでは
- 保育士:子どもの遊びのプロ
- 幼稚園教諭:幼児教育のプロ
- 認定ABAセラピスト:行動を増やすプロ
を持っている私たちが、お子さんの困った行動に悩む親御さんへ向けて、行動課題の解決策を提供しています。
今回は、私たちが支援・サポートをしているお子さんが持っている ”自閉スペクトラム症” についてまとめていきます。
発達障害全般については、以前のブログでまとめているので、良かったら合わせてみてみてください!
自閉スペクトラム症とは
自閉スペクトラム症の診断については、DSM-5に記述されており、下記などの条件が満たされたときに診断されます。
- 複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥があること
- 行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上あること(情動的、反復的な身体の運動や会話、固執やこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ など)
- 発達早期から1,2の症状が存在していること
- 発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
- これらの障害が、知的能力障害(知的障害)や全般性発達遅延ではうまく説明されないこと
このように定められています。
具体的な行動例
自閉スペクトラム症の方にみられる行動の一例です。
この行動が見られたから、必ず自閉スペクトラム症というわけではないですが、参考までにまとめています。
- その場の状況に合わない言動
- 一方的な会話(マイペース、常に受け身である、常に一方的であるなど)
- 視線が合いにくい(避ける)、合っているようで合っていない
- 人見知りをしない、距離感が近い
- 独り言が多い
- エコラリア(おうむ返し)
- 共同注視をしない(みてみて〜が伝わらない)
- 抱っこやふれあいを拒否する
- 言葉ではなく、クレーン(相手をその場に連れていく)で要求する
- 逆手バイバイをする
- 相手の気持ちへの共感が乏しい、共感が苦手
- 自分の好きなことに対しては饒舌
より具体的な行動を知りたい時は、こちらの本をご覧ください。
重度自閉症の東田直樹さんがご自身の言葉で、自閉スペクトラム症でみられる症状について解説してくださっています。
幼児期に気になる行動
自閉スペクトラム症の方の、幼児期に特に気になる行動としては、言葉の理解が問題となることがあります。
知的の遅れなどがなくとも、言葉の理解に苦手さがみられることがあるため、大人の言っている言葉の意味がわからず、自分が思っていることと異なりパニックを起こしたり、集団指示についていけないなどの困り感が生まれることがあります。
青年期に気になる行動(二次障害)
幼児期のこのような小さなすれ違いが解消されず、そのまま大きくなっていくことで、不安症や脅迫症、うつなどの精神疾患などの二次障害に繋がることがあります。
二次障害は「理解してもらえない」「失敗」「否定」などによる自己肯定の低下や認知の歪み、無気力状態が蓄積されることにより生まれると言われています。
知的な遅れがないけれども、集団の指示を聞くことができないというお子さんが目の前にいた時にまずどんなことを考えますか?
この子は発達障害かもと視点を変える前に「なんで話を聞かないの!」「外を見ていないで、先生の方に体を向けて」「ご飯の前に片付けてって言っているのに、ずっとTVばかり見て!」とお家の中でも、お外でも注意をされると思います。
こう言った時発達障害の子どもたちは「(聞こえていないから)急に怒られた」「(わかんないけど)注意された」と感じ、原因がわからないけど怒られるという経験を積み重ねてしまいます。
こういった経験を積み重ねると「自分はダメなんだ」「いつも怒られるんだ」という自己否定の思いに繋がったり、周りの人は怒る人ばっかりだから「怒られそうになったら相手を攻撃しよう!」というような考えになることがあります。
その考え(認知の歪み)のまま大きくなることで二次障害に繋がる可能性が生まれてきます。
二次障害を防ぐために
二次障害は防ぐことができる障害です。
自分を強く否定してしまったり、必要以上に強い不安を感じたり、自分を守るために相手を攻撃したり、こういった行動を防ぐにはどうしたら良いのでしょうか?
子どもの特性を理解する
特性に合わせた支援をする
ストレスの解消法を身につける
環境を整えストレスを最小限にしていく
この4つのPOINTが大切になります。
そして、これらを提供できるのが発達支援(療育)であるため、発達障害を持つお子さんには早期療育が大切と言われています。
必要なのは早期療育だけ?
じゃあ、困りごとがあった時に発達支援(療育)に通うだけで良いのか?と疑問に思うことがあると思います。
自閉スペクトラム症の根本的な治療は現在の医療では不可能と言われています。
自閉スペクトラム症のお子さんは、独特な感覚の感じ方や理解の仕方、覚え方をすることがあります。(程度は人それぞれです)
そのため、今現在の対応方法としてはそのお子さんに合わせた伝え方で学習や発達を促すこと、発達支援(療育)が中心となっています。
また、自閉スペクトラム症と併せて併存する障害に対してはお薬での治療が必要とされることがあります。
(例えば、睡眠障害、てんかん、注意欠如・多動症、パニック症、不安症など)
お子さんの姿に困り感を感じていたり、どうだろう?と思った時には、その時の様子を動画に撮り、Drに相談してみることをお勧めします。
さいごに
自閉スペクトラム症かもしれないと思った時に、さらに先のことについて考えることは難しいと思います。
ですが、発達障害のお子さんにとって、失敗経験や苦手意識を幼児期に乗り越えていくことは、小学校さらには青年期にとって非常に重要となります。
効果があり、すぐに実践できることは大人の声かけを変えていくことです。
どういった声をかけていけば良いかはさまざまな本があるので、参考にしてみてください。
ただ、本を読んでも「これでいいのかな?」「こんな時はどうしたらいいんだろう?」「なんでこういった行動をとるのだろう?」と疑問を感じることが出てくると思います。
そう言った時は、ペアレント・トレーニングに参加すると、疑問を解消しながらお子さんの特性に対する理解を深め、声の掛け方や関わり方のアドバイスを受けることができます。
一人で悩みすぎる前に、相談をしながらお子さんの発達を支えていきましょう!